飲食店や小売店などの店舗を出店する場合、出店場所の選択は非常に重要な要素です。出店場所によって、集客力や売上、経営の安定性などが大きく変わってきます。
今回は、店舗をショッピングモールに出店するメリットと注意点について、詳しく
解説します。ショッピングモールに出店することで、どのような利点があるのか、またどのようなリスクや制約があるのか、知っておきましょう。
なくショッピングモールに出店するメリット
ショッピングモールに出店するメリットは、主に以下の6つです。
- 施設自体に集客力がある
- 購買意欲の高い人が集まる
- 広告宣伝費を削減できる
- 天候が客足に影響しにくい
- 出店自体が実績になる
- ターゲットがわかりやすい
施設自体に集客力がある
最大のメリットはその集客力にあります。ショッピングモールはバラエティ豊かなテナントを入居させ、一日いても飽きない工夫をしています。また、駅に直結している、駐車場が大きいなどの理由でアクセス性も大変よく、集客力は路面店の比ではありません。
購買意欲の高い人が集まる
あらゆるジャンルのお店が並ぶショッピングモールでは、買い物も食事もすべてワンストップで済んでしまいます。これは、お財布の紐を緩めている人が多いということでもあります。購買意欲の高いお客様が集まっているため、販売チャンスが増えるのです。
さらにショッピングモールは、路面店と比べて滞在時間が長くなりがちです。アパレルショップをのぞいたら、次はお菓子を買い、ランチどきになったのでそのままレストラン街へ…。そんな「人の流れ」があるため、集客がしやすいといえます。
広告宣伝費を削減できる
ショッピングモールは、公式サイトや折り込みチラシなどを使って、全館でプロモーションをおこないます。テナントはその恩恵を受け、自分たちで広告宣伝費をかけずにお客様を集めることができます。
天候が客足に影響しにくい
ショッピングモールのテナントは、天候の影響をあまり受けません。駅直結のショッピングビルや、屋内駐車場をそなえた商業施設では、お客さまは雨や雪に濡れることなく足を運べます。よほどの荒天でない限り、安定した集客が見込めるでしょう。
出店自体が実績になる
認知度が高く、メディアによく取り上げられるような施設に出店できると、お店の実績になります。ショッピングモールへの出店は、申し込みをした全ての店舗が叶うわけではありません。施設側の審査を受け、出店を許可された店舗だけが出店できるのです。
「名のあるショッピングモールに出店を許された」という実績をつかむことで、今後また1軒、2軒と店舗展開することになったときに有利になります。
ターゲットがわかりやすい
ショッピングモールは特定のターゲットに向けて設計されていることがあります。客層やターゲットの傾向が分かりやすいのもメリットといえるでしょう。たとえば、家族連れが集まる施設であればテーブル席を増やし、お子さまメニューを提供する。カップルや若年層が集まる施設であればポップなメニューを展開する。ターゲットがわかりやすいことで、メニュー開発や店内レイアウトがしやすくなります。
ショッピングモールに出店する注意点
ショッピングモールに出店する注意点は、主に以下の3つです。
- 売上に応じたテナント料を徴収される
- 売上金の入金は当日ではない
- 施設のコンセプトに合わせたお店づくりが必要
売上に応じたテナント料を徴収される
ショッピングモールに出店すると、施設側へ毎月テナント料を支払うことになります。テナント料の額は、毎月一定ではありません。もっとも一般的なのは、「売上歩合方式(売上歩率)」と呼ばれる賃料徴収形態でしょう。
お店の当月の売上に、施設側が設定した特定の利率をかけた金額がテナント料となります。売上が多いほどテナント料は高くなり、月ごとに金額が変動します。
月間の売上額×売上歩率=賃料
たとえば、歩率が10%、月売上が100万円だった場合、テナント料は10万円になります。売上が200万円だった場合は20万円、300万円だった場合は30万円となります。
売上歩合方式のメリットは、売上が少ないときにはテナント料も少なくなることです。売上が多いときにはテナント料も多くなりますが、それは利益も多く出ているということなので、相殺されます。
売上歩合方式のデメリットは、売上の予測が難しいことです。売上が変動すると、テナント料も変動するので、毎月の経営計画を立てるのが難しくなります。また、売上が高くなると、テナント料も高くなるので、利益率が低下する可能性があります。
契約条件により、テナント料が固定であったり、一定の売上(最低保証売上高)までは固定、それを超えると売上歩合になる場合があります。
売上金の入金は当日ではない
ショッピングモールに出店すると、売上金の入金は当日ではありません。施設側が集計した売上金を、翌月に入金してくれます。つまり、売上金を受け取るまでに1ヶ月のタイムラグが発生するのです。
売上金の入金が遅れることのデメリットは、資金繰りが悪くなることです。売上金を受け取るまでに、人件費や仕入れ費、テナント料などの支払いが発生します。そのため、自己資金や借入金などで賄わなければなりません。資金繰りが悪くなると、経営の安定性が低下する可能性があります。
この方式のメリットは、売上の管理がしやすくなることです。施設側が売上を集計してくれるので、自分でレジや売上台帳を管理する必要がありません。また、売上金の入金は一括で行われるので、入金の確認や振込手数料などの手間が省けます。
施設のコンセプトに合わせたお店づくりが必要
ショッピングモールに出店すると、施設側のコンセプトに合わせたお店づくりが必要になります。施設側は、テナントの品揃えや価格帯、店舗デザインなどに対して、一定の基準や指示を出すことがあります。これは、施設全体の統一感やイメージを高めるためです。
施設側のコンセプトに合わせたお店づくりが必要なことのデメリットは、自由度が低くなることです。自分の思い通りにお店を作ることができない場合があります。また、施設側のコンセプトが変わると、お店もそれに合わせて変更しなければなりません。そのため、コストや時間がかかる可能性があります。
逆にメリットは、お店の魅力が高まることです。施設側のコンセプトは、ターゲットのニーズやトレンドに合わせて作られています。そのため、施設側のコンセプトに沿ったお店を作ることで、お客さまの満足度やリピート率が高まる可能性があります。
まとめ
店舗をショッピングモールに出店するメリットと注意点についてまとめてみました。ショッピングモールに出店することで、集客力や売上、実績などが向上する可能性がありますが、テナント料や資金繰り、コンセプトなどにも注意が必要です。出店場所の選択は、店舗の成功に大きく影響する要素です。店舗の特徴や目標、ターゲットなどを考えながら、最適な出店場所を選択しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。