イオンリテールは、2023年5月から「イオン」「イオンスタイル」など約380店舗に、独自開発した需要予測・発注システム「ＡＩオーダー」を導入しました。このシステムは、客数と商品の需要予測をもとに最適な発注数を提示するシステムで、発注時間の半減や発注精度の向上、在庫削減などの効果が期待されています。「ＡＩオーダー」の仕組みや
メリット、今後の展望について見てみましょう。
「ＡＩオーダー」の仕組み
「ＡＩオーダー」は、曜日や行事、商品価格といった「要因」ごとの「販売数」をＡＩが学習し、日ごとの販売見込みを予測します。気候などにより販売数が変動する商品について、最適な数量で発注することができ、品切れを防ぎます。また、このシステムの優れたところは既存の発注システムに追加する形で設計しており、新たな使い方の教育がしやすく、全店への導入を容易にしています。
「ＡＩオーダー」のメリット
「ＡＩオーダー」の導入には、以下のようなメリットがあります。
- 発注時間の半減：正確な発注数を自動で提示することで、発注にかかる時間を1部門あたり平均およそ90分から45分に半減します。
- 発注精度の向上：ＡＩによる客数予測や過去の販売実績とあわせて、曜日・価格・気温・プロモーションなどを学習するで、従来のシステムと比べ精度を最大40%改善します。
- 在庫削減：過剰発注を防ぐことで平均3割の在庫削減にもつながります。在庫数が適量になることで入荷整理や品出しをはじめ、在庫管理、値引き、発注修正などあらゆる業務負荷が減り、生産性向上と労働環境の向上につながります。
- サービス向上：今まで発注作業にとらわれていた時間は、接客や売場整理といったサービス向上の業務に使うことができます。また、品切れを減らすことで、顧客満足度も高めます。
ネットスーパーへの活用
「ＡＩオーダー」は、店舗での発注業務だけでなく、ネットスーパーの運営にも活用されています。イオンネクストは、2023年夏から、AIやロボットなどの技術を駆使した次世代ネットスーパー「Green Beans（グリーンビーンズ）」を開始しています。このサービスでは、「ＡＩオーダー」の需要予測機能を利用して、商品の在庫管理や発注を最適化するとともに、お客様に対してAIが商品を提案する「スマートカート機能」を搭載しています。「Green Beans（グリーンビーンズ）」は、品揃えの豊富さや鮮度保証サービス、配達日時の柔軟性などで、他のネットスーパーと差別化を図っています。
ＡＩオーダーによる価格管理
「ＡＩオーダー」は、価格管理にも活用されています。価格は商品の販売に大きく影響する要因の一つですが、人の手で適切に設定することは実は困難なことあり、精度を上げるには膨大な時間が必要です。「ＡＩオーダー」では、過去の販売実績や競合の価格、天候や季節などの情報をもとに、AIが最適な価格を算出し提案します 。これにより、売上や利益の最大化させることができます。また、見切り価格も提案することもできるため、在庫の適正化にも有効で、過剰在庫を防ぐことができます 。
「ＡＩオーダー」の今後の展望
「ＡＩオーダー」は、現在は日配品（練り物・豆腐・パン・デザート・生菓子など）から開始しており、約1,000品目に対応しています。今後は、上記以外の食品、衣料、暮らしの品などにも拡大していく予定とされています。また、イオンリテールは、店舗データのデジタル化や需要予測を行い、発注の最適化をすすめるとともに、物流課題の解決や商品開発などのサプライチェーンのDXをさらに推進していくともしています。
まとめ
「ＡＩオーダー」は、イオンリテールが独自開発した需要予測・発注システムで、発注時間の半減や発注精度の向上、在庫削減などの効果が期待されています。このシステムは、ＡＩが学習した客数と商品の需要予測に基づいて最適な発注数を提示するシステムで、既存の発注システムに埋め込む形で設計されています。現在は日配品から開始しており、今後は他の品目や部門にも拡大していく予定です。イオンリテールは、このシステムを通じて、発注の最適化やサプライチェーンのDXを推進していくとしています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の情報はシステム導入前に発表された内容を含んでいます。そのため、実際の運用状況と異なる可能性がありますのでご了承ください。
