AI（人工知能）は、様々な業界で活用されていますが、特に小売業では、需要予測や在庫管理、発注業務などの効率化、適正化に活用されています。AI発注システムは、販売実績や気候、イベントなどのデータをAIが学習•分析し…
必要な在庫数を算出し自動的に発注を行うシステムです。AI発注システムを導入することで、売り切れによるチャンスロスを防ぎ売上を拡大でき、適正な在庫運用により在庫過剰のリスクを減らし、さらに無駄な作業時間やコストを削減することができます。AI発注システムを導入した大手スーパーの事例を紹介します。
イオンリテール
イオンリテールは、日本最大の小売業グループであるイオングループの中核企業です。同社は、2023年2月にAI技術を活用した、商品発注システムを開発しました。このシステムは、「国内最大規模の需要予測・発注システム」とされています。過去の販売実績や曜日、気候(予報)、販売価格、セールなどの情報をAIが分析し適切な在庫数、発注数を算出し、店舗従業員が特売品などの修正•追加をして発注する仕組みです。従来に比べて作業時間は約50%減り、欠品率は約30%減らすとしています。そして、過剰発注を防ぎ、在庫効率を上げることにより、在庫を約30%削減することもできます。イオンリテールは、このシステムを全国380店舗に導入し、顧客満足度の向上と業務効率化、売上拡大を図っています。
西友
西友は、ウォルマートの傘下の大手スーパーマーケットです。西友は、2022年10月に、株式会社シノプスが開発した、AI技術を活用した自動発注システムを導入しています。販売実績や気温、天気、セールなどの情報をAIが分析し、自動で最適な発注を行うことができます。西友は、このシステムを全国200店舗に導入し、欠品率を40%、作業時間を約60%削減することができているとしています。このシステムの活用によって、変化する顧客ニーズに対応した商品ラインナップの充実と業務の効率化を進めています。
ライフ
ライフは、関西を中心に展開する大手スーパーマーケットです。ライフは、2021年2月に、AIによる自動発注システム「AI-Order Foresight」を導入しました。このシステムは、日本ユニシスとの共同開発によるもので、販売実績や気温、天気、イベントなどのデータをAIが分析し、最適な発注量を自動的に算出します。ライフは、このシステムを全店舗に導入し、年間40万時間もの発注業務にかかる時間を半減させることに成功しています。
ヤオコー
ヤオコーは、関東を中心に展開するスーパーマーケットチェーンです。ヤオコーは、2022年11月に、AI技術を活用した自動発注システムを全店に導入しました。このシステムは、日立製作所開発のシステムをベースにしたもので、販売実績や気温、天気、イベントなどのデータをAIが分析し、自動的に適切な発注数を決定する仕組みです。同社は、このシステムを全182店舗に導入することで、欠品率を約50%減らすとともに、従来3時間かかっていた発注業務を約25分に短縮できた、としています。ヤオコーは、このシステムの活用により、品揃えを充実させ、業務効率化と顧客満足度向上を目指しています。
マックスバリュ東海
マックスバリュは、イオングループのひとつである大手スーパーマーケットチェーンです。マックスバリュ東海は、2023年4月に、AIを活用した自動発注システムを導入しました。このシステムは、一般財団法人日本気象協会のサービスで、難しいとされていた生鮮食品の発注を自動化するものです。販売実績や気温、天気、イベントなどの情報をAIが分析し、最適な発注量を自動的に計算する仕組みです。同社は、このシステムを約300店舗に導入することによって、欠品率を約30%減らし、作業時間を約20%削減しました。マックスバリュは、このシステムを活用して、顧客ニーズに合わせた商品提供、品揃えの充実、業務の効率化を推進しています。
まとめ
AI発注システムは、小売業において、需要予測や在庫管理、商品発注などの業務に革新的な変化をもたらしつつあります。AI発注システムを導入する効果は、欠品や過剰在庫のリスクを減らし、作業時間やコストを削減することなどが期待できます。AI発注システムを導入した企業の事例を紹介しました。どの事例をみても、業務効率化(コスト削減)と、顧客ニーズへの対応(売上拡大)に役立っていることが分かります。AI発注システムは、小売業の競争力を高めるための重要なツールとして存在感が高まっています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
