小売業にとって、天気は売上に大きな影響を与える要因の一つです。天気によって消費者の行動やニーズが変化し、それに伴って売れる商品は変わります。食料品以外の商品でも、天気の変化に敏感に反応する商品が多くあります。小売業と天気との関係性について
以下の2つの観点から見てみます。
- 天気と売れる商品の関係
- 天気予報を活用した販売促進の方法
天気と売れる商品の関係
天気によって、消費者の気分や体感温度が変わります。それによって、消費者が求める商品の種類や量も変わります。分かりやすい例では、気温が上がると冷たい飲み物やアイスクリームが売れます。また薄手の涼しげな衣料品が売れることも想像しやすいと思います。逆に、気温が下がると、温かい飲み物や鍋料理、暖かい衣料品などが売れやすくなります。
それ以外にも、気温が上昇すると、帽子や日焼け止めなども売れやすくなります。また、ヨーグルトやチーズなどの乳製品も、暑い時期には消化が良くて栄養価が高いというイメージがあるため、需要が高まる傾向があります。気温が下がる時期には、マスクやハンドクリームなどの乾燥対策用品や、アロマオイルやキャンドルなどのリラックス用品も需要が高まる傾向があります。また、雨の日は、傘やレインコート、長靴などの雨具が、晴れの日は、外出するためのサングラスや帽子、レジャー用品などが売れるなど天気によって売れるものが変化します。
| 天候要因 | 主な業種 | 商品 | 売れる理由や補足 |
|---|---|---|---|
| 気温が上がる | スーパー | アイスクリーム、炭酸飲料、かき氷シロップ、豆腐 | 暑さを和らげるために冷たいものを求める人が多い |
| スーパー | ヨーグルトなどの乳酸菌食品 | 気温が上がると腸内環境が乱れやすくなるため、ヨーグルトで整えたい人が多い | |
| ファッション系 | サングラス、帽子、日傘 | 日差しを避けるために必要なもの | |
| ドラッグストア | 日焼け止め、保湿クリームなど |
紫外線や乾燥から肌を守ったり、ケアしたりするため |
|
| 気温が下がる | スーパー | 温かい飲み物、鍋料理、おでんなど | 寒さをしのぐために温かいものを求める人が多い |
| 家電量販店等 | コーヒーメーカー、オーブントースター | 温かい飲料や食べ物を作りたいニーズ | |
| ドラッグストア等 | リップクリーム、ハンドクリーム | 乾燥や寒さから肌を守るために必要なもの | |
| ドラッグストア等 | マスク | 気温が下がると風邪やインフルエンザなどの感染症が流行りやすくなるため、マスクで予防したい人が多い | |
| 雑貨店等 | アロマ用品、アロマオイル | 気温が下がると気分が落ち込みやすくなるため、アロマでリラックスしたり、癒されたりしたい人が多い | |
| 晴天 | ホームセンター等 | バーベキュー用品、花火、 | 晴れた日に屋外で楽しみたいニーズ |
| ファッション系 | 帽子、サングラス、日傘 | 日差しを避けるために必要なもの | |
| 雑貨店等 | 水筒、ペットボトルホルダー | 外出時に水分補給したいニーズ | |
| 雨天 | スーパー | 加工食品、冷凍食品 | 外食を控えて自宅で食事をする人が増えるため |
| ドラッグストア等 | 洗剤やシャンプーなどの日用品 | 雨の日には家で片付けをして消耗したり不足に気付くため | |
| 書店 | 本、雑誌 | 雨の日には読書を楽しみたい人が多い | |
| 台風 | ホームセンター等 | 防災グッズ、傘、電池など | 台風に備えて必要なものを買い求める人が多い |
| スーパー | 缶詰、レトルト食品、水 | 停電や断水に備えて保存できるものを買い求める人が多い | |
| ホビー店等 | ボードゲーム、パズル、DVDなど | 台風で外出できないときに家で楽しめるものを買い求める人が多い | |
| 家電量販店等 | モバイルバッテリー | 台風で停電になるとスマホやタブレットなどの充電ができなくなるため、モバイルバッテリーで対処したい人が多い | |
| 家電量販店等 | ラジオ | 台風でインターネットやテレビが使えなくなると情報が入らなくなるため、ラジオで最新の情報を聞きたい人が多い |
これらの商品は、気温や天気によって需要が大きく変動するため、季節性商品と呼ばれます。季節性商品は、天気の変化に合わせて仕入れ量や陳列場所・方法を変更することで、売上を最大化することができます。しかし、天気の変化を読み間違えると、在庫が余ったり、品切れになったりするリスクもあります。そのため、天気予報を活用した販売促進の方法が重要になります。
天気予報を活用した販売促進の方法
天気予報を活用した販売促進の方法として、「ウェザーマーチャンダイジング」という手法があります。天候に合わせて売れる商品を予測し、事前に仕入れる量を調整したり、広告の出稿を増量したりといった方法です。
ウェザーマーチャンダイジングのメリットは、以下のようになります。
- 需要に見合った在庫を確保することで、在庫管理の効率化や食品ロスの削減につながる
- 消費者のニーズに応えることで、販売機会の拡大や顧客満足度の向上につながる
- 季節・天気に関連した商品をアピールすることで、消費者の購買意欲を刺激する
ウェザーマーチャンダイジングを実践するには、以下のようなステップが必要です。
- 商品を「昇温商品」と「降温商品」に分ける
- 商品が売れ始める気温や体感温度を把握する
- 天気予報をもとに売上予測を立てる
- 仕入れや陳列、広告などの販売促進策を決める
- 実績と予測の差異を分析し、改善策を考える
ウェザーマーチャンダイジングは、天気予報の精度や分析の方法によって、効果が変わります。
まとめ
食料品以外の小売業と天気との関係性について、以下の2つの観点から見てみました。
- 天気と売れる商品の関係
- 天気予報を活用した販売促進の方法
小売業にとって、気温・天気は売上に大きな影響を与える要因の一つです。天気の変化に対応するためには、天気予報を活用した販売促進の方法や天気リスクの管理の重要性を理解し、適切な対策を講じることが必要です。小売業者は、自社の商品や顧客の特性に応じて、最適なウェザーマーチャンダイジングを実施することで、天気の変化に強いビジネスを展開することができます。
・・・と、定義を知っていてもなかなか上手くいかないんですけどね。。。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
