インフレとは、物価が全体的に上昇する社会・経済の現象のことです。インフレには、いくつかの種類がありますが、小売業にとっては、コストや価格、需要などに密接に関係し、大きな影響を受ける要因です。インフレの種類と小売業への影響、そして小売業が取るべき…
対策についてまとめてみます。
インフレの種類
インフレの種類はさまざまありますが、主なものは以下の3つです。
- 需要インフレ:経済が活発になり、需要が供給を上回ることで物価が上昇し、好景気になりやすいインフレです。景気回復や政府主導の財政支出の増加などが要因になります。
- 供給インフレ:生産コストの上昇により物価が上昇するインフレです。原材料や賃金の高騰や、天災や戦争などによる供給不足などが原因で、2023年に起きている物価高騰がもし過度に進行すると供給インフレになります。
- 通貨インフレ:通貨の供給量が急激に増えることで物価が上昇するインフレです。中央銀行の金融緩和や、政府の赤字の増加などが要因です。
小売業への影響
インフレの小売業への影響には、メリットとデメリットの両方があります。まずメリットとしての影響は以外です。
- 売上高が増加する可能性がある。物価が上昇=商品・サービスの値上がりにより、販売量が変わらなくても売上高が上昇することがあります。さらに、需要インフレの場合は、消費者の購買意欲が高まることで販売量も上がります。
- 在庫の価値が上昇する。物価が上昇し商品の価格が上がれば、在庫の価値も上昇します。特に、供給インフレの場合は、在庫が貴重性を増すことによって資産となることもあります。
一方で、デメリットは下記のようなことがあります。
- 原価が上昇する。物価が上昇すると、原材料や人件費などのコストの上昇も起きやすくなります。供給インフレの場合は、コストの上昇が大きくなりやすくなります。
- 利益率が低下する危険性がある。物価が上昇すると、販売価格も上昇することが多いですが、利益率はそれに比例するとは限りません。特に、通貨インフレの場合は、価格の上昇がコストの上昇に追いつかないことが見られます。
小売業の対策
インフレに対応するために、小売業ができる対策としては以下のようなことが考えられます。
- パーソナライズ:消費者のニーズや嗜好に合わせる、商品やサービスを開発•改良することで、価値を高めることができます。商品自体の絶対的価値を上げることと、顧客に合わせた商品やサービスをタイムリーに提案・提供することで相対的価値を上げることがあります。
- シュリンクフレーション:商品の量を減らすことや品質を下げることで、原価の上昇を抑えることができます。例えば、チョコレートの大きさを小さくすることや、包装の質を下げるなどの手法があります。ただしこれを過剰に実施すると顧客の離反を招くことがあるので注意が必要です。
- 利益の低い商品減:利益率の低い商品やカテゴリーを削減することで、コストを削減することができます。例えば、競争の激しい商品、値崩れしている商品や、需要の低下している商品の取り扱いを止めることです。
- 商品構成の変更:商品の種類や価格帯を変更すること、または販売構成を変更するで、利益率を上げることができます。例えば、利益率が高いプライベートブランドの商品を増やすことで全体の利益を増やすことができます。
まとめ
インフレは、小売業にとって頭の痛い問題となりがちですが、一方では、チャンスともなり得ます。インフレの種類や原因を理解し、適切な対策を取ることができれば、小売業はインフレに対応するし成長できる可能性があります。インフレによって消費者の行動や価値観が変化する可能性もあり、小売業は常に市場の動向に注意を払う必要があります。
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