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小売業における派遣業法と独占禁止法について|3つの制限と注意点

小売業では派遣労働者を活用することが多くあります。その場合は、労働者派遣法(以下、派遣法)や独占禁止法などの法令を遵守する必要があります。派遣法は、派遣労働者の権利や派遣先企業の責任を定めた法律であり、独占禁止法は、大規模な小売業者がメーカーや派遣元に対して

不当な取引条件を強要することを禁止した法律です。小売業における派遣業法の注意点について紹介します。

派遣できる業種と派遣禁止業務

派遣法では、派遣できる業種と派遣禁止業務を明確に区別しています。派遣できる業種は、派遣禁止業務以外のすべての業種です。派遣禁止業務としては、以下の5つがあります。

  • 建設業務
  • 港湾運送業
  • 警備業務
  • 病院・診療所などにおける医療関連業務
  • 弁護士・社会保険労務士などの士業

これらの業務は、専門性や公共性の高さなどの理由から、派遣形態での就業が適切でないとされている業務です。小売業は、これらには該当しないので、基本的には派遣できる業種です。

派遣期間の制限と更新の条件

派遣法では、派遣期間の制限と更新の条件を定めています。派遣期間の制限とは、派遣労働者が同一の派遣先で同一の業務に従事できる期間の上限のことです。派遣期間の制限は、原則として3年です。ただし、以下のような場合は、派遣期間の制限が適用されません。派遣法では、派遣期間の制限と更新の条件を定めています。 

  • 派遣労働者が専門的な知識や技能を有する場合
  • 派遣労働者が一定の期間に限り、特定の事業の実施に必要な場合

これらの場合は、派遣元と派遣先が協議の上で、派遣期間の制限の対象外とすることを労働者派遣契約に明記する必要があります。また、派遣元は、派遣労働者に対して、派遣期間の制限の対象外であることとその理由を説明する義務があります。

派遣期間の更新の条件とは、派遣期間の制限に達した後に、派遣労働者が同一の派遣先で同一の業務に従事し続けるために必要な条件のことです。派遣期間の更新は、以下のいずれかを満たすことが必要です。

  • 派遣元が派遣労働者に対して、無期雇用者としての雇用の機会を確保すること
  • 派遣元が派遣労働者に対して、新たな派遣先の提供を行うこと
  • 派遣元が派遣労働者に対して、安定した雇用のために必要な処置(紹介予定派遣など)を行うこと

これらの条件を満たすことで、派遣期間の制限に達した後も、派遣労働者は同一の派遣先で同一の業務に従事し続けることができます。

派遣元責任者と派遣先責任者の選任と業務

派遣法では、派遣元責任者と派遣先責任者の選任と業務を規定しています。派遣元責任者とは、派遣元において派遣労働者の安全衛生を統括管理し、派遣先との連絡調整を行う者のことです。派遣先責任者とは、派遣元との連絡調整を行う者のことです。派遣元と派遣先は、それぞれ派遣元責任者と派遣先責任者を選任する必要があります。

派遣元責任者と派遣先責任者の業務内容は、以下のようなものです。

  • 健康診断(一般健康診断、有害業務従事者に対する特殊健康診断など)の実施に関する事項(時期、内容、実施責任者など)
  • 安全衛生教育(雇入れ時の安全衛生教育、作業内容変更時の安全衛生教育、特別教育、職長等教育など)に関する事項(時期、内容、実施責任者など)
  • 労働者派遣契約の内容(派遣期間、派遣労働者の賃金、労働条件など)に関する事項
  • 派遣労働者の労働条件の改善や雇用の安定化に関する事項
  • 派遣労働者労働災害の発生や予防に関する事項
  • 派遣労働者の意見や苦情の受け付けや対応に関する事項

これらの業務を適切に行うことで、派遣元と派遣先は、派遣労働者の安全衛生や権利保護に努めなくてはなりません。

独占禁止法との関係

小売業において、派遣労働者を活用する場合は、独占禁止法との関係にも注意する必要があります。独占禁止法は、大規模な小売業者がメーカーや派遣元に対して不当な取引条件を強要することを禁止した法律です。例えば、以下のような行為は、独占禁止法に違反する可能性があります。

  • メーカーや派遣元に対して、自社の商品やサービスの優先的な提供や販売を要求すること
  • メーカーや派遣元に対して、自社の商品やサービスの価格や数量などの取引条件を不当に低く抑えること
  • メーカーや派遣元に対して、自社の商品やサービスの品質や機能などの取引条件を不当に高く引き上げること
  • メーカーや派遣元に対して、自社の商品やサービス以外の商品やサービスの取引を制限すること

これらの行為は、メーカーや派遣元の経営を圧迫し、市場の競争を阻害することになります。そのため、公正取引委員会から是正勧告や排除命令などの措置を受ける可能性があります。また、メーカーや派遣元から損害賠償請求をされる可能性もあります。

まとめ

小売業において、派遣労働者を活用する場合は、派遣法や独占禁止法などの法令に遵守する必要があります。派遣法は、派遣できる業種と派遣禁止業務、派遣期間の制限と更新の条件、派遣元責任者と派遣先責任者の選任と業務などを定めた法律です。独占禁止法は、大規模な小売業者がメーカーや派遣元に対して不当な取引条件を強要することを禁止した法律です。小売業者は、これらの法令に基づいて、派遣労働者の権利保護や安全衛生、公正な取引を確保することが求められます。小売業と派遣業法の関係について、対応方法と注意点を紹介しました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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