小売りの話題

アフィリエイト広告を利用しています

小売業における避難訓練の重要性と法令 〜日航機CAさんの的確な判断・行動に学びを得たい

羽田空港での事故におけるCAの皆様、機長の行動を見て感動しました。

私が店長を務めていたとき、店舗で火災や地震が起きたとしたら、自分や従業員があのように行動できたでしょうか。いえ、あのレベルでは絶対にできません。

私は店長時代、結構まじめに避難訓練をしたり

消火設備をチェックしたりしていました。火災の時にはまず館内放送を入れてお客様を落ち着かせようなどとも考えたりもしていました。

しかし、JAL機内でのCAさんの的確な判断、行動には遠く及びません。あの脱出は奇跡とも言われていますが、あのCAさん達にとっては必然であり、最初から全員の無事脱出というゴールをイメージして判断・行動していたことでしょう。本当にすごいことと思います。また、一席ずつ見て回り、全員の脱出を確認してから最後に脱出した機長の方にも尊敬の念しかありません。

小売業も、多くのお客様や従業員が集まる場所であるため、地震や火災などの災害が発生した場合、大きな被害や混乱が起こりやすくなります。そうした事態に備えて、避難訓練を定期的に行うことが重要です。避難訓練は、災害時にお客様や従業員の命や安全を守るだけでなく、信頼性を高める効果もあります。この記事では、小売業における避難訓練の重要性と、法令や規則についてまとめます。

避難訓練の重要性

避難訓練は、災害発生時に一人でも多くのお客様や従業員の命や安全を守るために必要な行動を習得することを目的としています。避難訓練を行うことで、以下のようなメリットがあります。

  • 災害時の避難経路や手順を確認し、迅速かつ円滑に避難できるようになります。
  • 災害時の役割分担や連携を確認し、混乱やパニックを防ぐことができます。
  • 災害時の消火器や消火栓の使い方や注意点を学び、初期消火の能力を向上させることができます。
  • 災害時の情報伝達や連絡体制を確認し、消防や警察などの関係機関との協力をスムーズに行うことができます。

避難訓練は、施設の規模に関わらず、定期的に行うことが望ましいです。避難訓練を行うことで、災害に対する意識や準備が高まり、災害に強い店舗や施設を作ることができます。

法令や規則の概要

小売業における避難訓練は、消防法や労働安全衛生法などの法令や規則に基づいて行われます。主な法令や規則は以下のとおりです。

  • 消防法:防火対象物(一定規模以上の建物等)については、防火管理者や防災管理者を置くことが義務付けられています。防火管理者や防災管理者は、講習を受講して資格を取得し、防火管理上必要な業務を行うことが求められます。その一つが避難訓練です。避難訓練は、年に1回以上、消防署長の指導を受けながら行うことが定められています。
  • 労働安全衛生法:事業者は、労働者の安全衛生の確保のために必要な措置を講じることが義務付けられています。その一つに、災害の予防のための教育があります。事業者は、労働者に対して、災害の発生原因や危険性、災害時の対処法などを教えることが求められます。避難訓練は、災害の予防のための教育の一環てあり、年に1回以上、事業者が自主的に計画して行うことが定められています。

防火管理者講習と防災管理者講習

防火管理者講習と防災管理者講習は、消防法に基づいて行われる講習です。防火管理者講習は、甲種と乙種に分かれています。甲種は、防火対象物の防火管理者として選任されることができる資格を取得するための講習です。乙種は、甲種の補助として防火管理者の業務を行うことができる資格を取得するための講習です。防災管理者講習は、防災管理者として選任されることができる資格を取得するための講習です。防災管理者は、防火管理者の資格も必要になります。防火管理者講習と防災管理者講習は、消防署や消防団、委託された団体などが実施しています。講習の内容や時間は、実施機関によって異なりますが、一般的には以下のようなものです。

  • 防火管理者講習(甲種):消防法や防火管理者の業務、火災予防や消火器の使い方などについて学びます。
  • 防火管理者講習(乙種):甲種の内容に加えて、防火管理者の補助として必要な知識や技能について学びます。
  • 防災管理者講習:防災管理者の業務や災害時の対応、避難訓練の計画や実施、防災計画の作成や改善などについて学びます。

避難訓練の実施について

私が店長として避難訓練を実施した時の経験を踏まえて、実施の手順とコツを記したいと思います。

1.日程を決める

 できるだけ多くの従業員が参加できる日時を選びます。店舗の規模や人数などにもよりますが1時間〜1時間半くらい、余裕を持って時間を設定します。

2.消防署(消防本部)に届け出をする

避難訓練の実施には、消防署(消防本部)に申請書を提出する必要があります。申請書の提出と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、経験上、消防署の方はとても親切で協力的なので身構える必要はありません。まずは電話してみましょう。

【届け出時に聞かれる(かもしれない)こと】

  • 日程、実施時間
  • 場所
  • 参加人数
  • 非常ベルを鳴らすか
  • 消防署への通報訓練をするか
  • 消防署の立ち会いを希望するか
  • 消火器の取り扱い訓練をするか

非常ベルは鳴らすことができるなら鳴らした方がいいです。私は、非常時にはまず混乱を防ぐために、館内放送でお客様になんらかのアナウンスをすることを想定していました。ところが、訓練で非常ベルを作動させたところ、機械音声の非常放送が優先され、通常の館内放送は一切使えないことが分かりました。館内放送をするには休憩室にある非常警報操作盤まで行かないとならないという課題が見つかりました。

消防署の立ち会いと消火器訓練は時間が取れるなら積極的にお願いしましょう。立ち会いによって訓練後に評価とアドバイスをいただけます。また、消防署の方が来ることで従業員の真剣味が増します。

消火器訓練を希望すると練習用の消火器を借りることができます。

※消防署の人員や機材によって違いがあるかもしれませんので、管轄の消防署に相談してください。

3.近隣住民への告知

特に非常ベルを鳴らす場合は近隣住民の方に、書面を投函するなどして告知しておきます。

4.役割分担と台本の作成

訓練に台本?と思われるかもしれませんが必ず作成しましょう。非常時本番は全てがアドリブですが、台本のないアドリブはありません。筋書きがあるからこそ臨機応変に対応できます。A4用紙1枚程度にまとめましょう。

簡単な流れはこのようになります。

火災の発見  「火事だー!火事だー!」

        2回叫ぶ

 ↓

報告・周知  「○○で火事です!」

 ↓

非常ベル操作 「誰か非常ベルを鳴らしてください!」

消防署へ通報 「誰か消防署へ通報してください」

       「私、○○が通報します」

 ↓

初期消火   「私、○○が消火器を持って向かいます」

 ↓

避難誘導   「火災が発生しました。お客様は従業員の誘導で避難してください!」

       「非常口はこちらです!」

 ↓

避難完了確認  

以上は本当に簡単な流れです。これに、時間、場所、役割などを追加していきます。

店舗の規模、人数によって役割配分などは変わりますが、台本を作る=想定することに意味があります。

台本を作る過程で、通報する人、初期消火する人、お客様を誘導する人が必要だな、とか見えてきます。想定しておけば、いざという時に人数が少なくても、通報後に初期消火しよう、など臨機応変に対応できます。

セリフを考えることも大事です。火事を目の前にして、頭が真っ白になり言葉が出てこない人もいます。火事を発見した時にどうやって知らせていいか分からない人もいます。「火事だー!」と叫ぶことが正解ですが、訓練なしでは意外とできません。台本を活用すると、必要な伝達事項の確認と声を発生する練習になります。

台本は真剣に作ります。消火器の位置、非常口の位置、避難場所、伝達方法などを確認する過程で問題点に気付く場合もあります。

台本を作ると、あの日航機のクルー達が綿密に考えられたあらゆる想定=台本に基づいた訓練を何度も繰り返していることに気付くと思います。

5.従業員への告知

日時の告知とともに実施の目的・意義を伝えます。私は事前に台本も渡していましたが、役割の名前部分と火災発生場所は伏せておき、役割分担は当日発表するからどの役割でもできるように全部覚えておくように、と言っていました。

回数を重ねてきたら、役割分担や火災発生場所を決めずに、訓練開始時点の火災発生場所と自分の位置から判断して自分の役割を見つけ臨機応変に行動する、ということができるとより実践的な訓練になると思います。

6.訓練の実施

とにかく自分が大きな声でやることが大事です。従業員の恥ずかしいという思いを吹き飛ばすくらいの声の大きさとジェスチャーをしましょう。発見→通報→避難→完了までの時間も記録しておきます。

7.反省・振り返りと改善

時間があれば、消防署の方立ち会いの元、従業員全員で反省会を実施します。想定の手順・時間で通報や避難誘導ができたかを確認します。また、消火器の設置場所や誘導路などに問題や改善点がないかも検証します。

まとめ

小売業における避難訓練は、災害に備えてお客様や従業員の命や安全を守るために重要な活動です。避難訓練を行うことで、災害時の対処法や連携を習得し、いざという時の実行度を高めることができます。避難訓練は、消防法や労働安全衛生法などの法令や規則に基づいて行われます。防火管理者や防災管理者は、消防署等の行う講習を受講して資格を取得し、避難訓練の計画や実施に責任を持ちます。小売業の事業者や従業員は、避難訓練に積極的に実施・参加し、災害に強い店舗や施設を作ることに努めましょう。

 

最後に改めて、日航機のCAの皆様、機長、空港職員の方に敬意を表します。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

人気ブログランキングでフォロー
小売・飲食業ランキング ビジネス・業界ランキング
↑ クリックで応援をお願いします!