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景品表示法と小売業:法令の要約と事業者が注意すべきポイント

小売業において、景品提供は顧客獲得のための有効な手段です。しかし、関係する法令の遵守は必須です。消費者を惹きつけつつ、同時に

法令を遵守するためには、景品表示法に対する正しい知識と対応が不可欠です。今回は、小売業者が景品を提供する際に直面する可能性のある法的な問題と、それを避けるための具体的な注意点をまとめます。

景品表示法とは

景品表示法、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と呼ばれ、昭和37年法律第134号として制定されました。この法律は、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示することや、消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供を禁止し、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることを目的としています。

法律の主な内容

主に、「優良誤認表示」や「有利誤認表示」の禁止、「景品類の提供に関する制限」などが規定されており、これらの不当な商慣行を防ぐことで、消費者保護を図っています。

2024年改正のポイント

2024年に施行された景品表示法の改正は、消費者保護の強化と事業者の自主的な取り組みを促進することを目的としています。主要な改正ポイントは以下の通りです。

確約手続きの導入

違反が疑われる事業者が是正措置計画を提出し、認定を受けることで、措置命令や課徴金納付命令の適用を受けない新しい手続きが導入されました。

課徴金制度の見直し

課徴金の計算基礎となる売上額の推計が可能になり、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者に対しては、課徴金額を1.5倍にする規定が新設されました。

罰則規定の拡充

優良誤認表示や有利誤認表示に対する直罰として、100万円以下の罰金が新設されました。

国際化への対応

外国執行当局への情報提供制度が創設され、国際的な取引における法執行の実現に向けた送達制度が整備されました。

適格消費者団体による開示要請規定の導入

適格消費者団体が事業者に対して表示の裏付けとなる資料の開示を要請できる新たな規定が設けられました。

これらの改正は、消費者の利益を一層保護し、事業者が適切な表示を行うことを促すためのものです。

主な規制内容

景品表示法は、消費者の利益を保護し、公正な商品・サービスの取引を促進するために、以下のような主な規制内容を定めています。

優良誤認表示の禁止

優良誤認表示とは、商品やサービスの性質について現実よりも優れたものであるかのように誤解させる広告表現を指します。これは、消費者が誤った判断をしてしまうことを防ぐために、景品表示法によって禁止されています。

優良誤認表示の具体例

「国産有名ブランド牛」と表示しながら、実際にはブランド牛ではない国産牛肉を販売していた。

「イタリア製」と表示しながら、実際には他国で生産された紳士服を販売していた。

「走行距離5万キロ」と表示しながら、実際は10万キロ以上走行している中古車を販売していた。

「オーガニック野菜を使用」と表示しながら、実際には非オーガニックの野菜を使用していた飲食店の。

「天然のマグロやトラフグ」を使用していると表示しながら、実際には養殖魚を使用していた。

有利誤認表示の禁止

有利誤認表示とは、商品やサービスの価格や取引条件が実際よりも有利であるかのように消費者に誤解を与える表示を指します。このような表示は、消費者の合理的な判断を阻害し、景品表示法によって禁止されています。

有利誤認表示の具体例

「期間限定割引」と表示しながら、実際には期間を更新して繰り返し行われている通常の販売価格だった。

「内容量が他社製品の1.5倍」と表示しながら、実際には同じ量だった。

「初回購入者限定特典」と表示しながら、実際にはすべての購入者に提供されている特典だった。

「1年間無料保証」と表示しながら、実際には追加費用が発生した

景品類の提供に関する制限

景品表示法では、消費者の利益を保護し、公正な商品・サービスの取引を促進するために、景品類の提供に関する制限を設けています。これにより、過大な景品による不健全な競争を防ぎ、消費者が質の良くないものや割高なものを購入することを防ぐことを目的としています。

景品類の定義

景品表示法上の「景品類」とは、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益を指します。

制限の内容

  • 一般懸賞: 商品やサービスの利用者に対して、くじやクイズなどの偶然性や特定行為の優劣によって景品を提供することを指します。

    一般懸賞においては、提供できる景品類の最高額及び総額が定められており、以下のように制限されています。

    • 取引価額が5,000円未満の場合: 最高額は取引価額の20倍まで
    • 取引価額が5,000円以上の場合: 最高額は一律10万円まで
    • 景品類の総額: 懸賞に係る売上予定総額の2%以内
    これらの制限は、消費者が過大な景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを購入することを防ぐために設けられています。
  • 共同懸賞: 複数の事業者が共同で行う懸賞には、一般懸賞よりも高い限度額が設定されています。地域の商店街やショッピングモールなどで実施される福引などが含まれます。

    共同懸賞においては、提供できる景品類の最高額及び総額が定められており、以下のように制限されています。

    • 景品1つあたりの最高額は30万円まで
    • 景品の総額は、懸賞にかかわる売上予定総額の3%まで

    これらの制限は、消費者が過大な景品に惑わされることなく、公正な競争を促進するために設けられています。

  • 総付景品: 総付景品とは、懸賞によらずに一般消費者に提供される景品類で、商品やサービスの購入者や来店者に対してもれなく提供される金品等がこれに当たります。総付景品の規制は、消費者が過大な景品に惑わされることなく、公正な競争を促進するために設けられています。

    総付景品においては、提供できる景品類の最高額が定められており、以下のように制限されています。

    • 取引価額が1,000円未満の場合: 最高額は200円まで
    • 取引価額が1,000円以上の場合: 最高額は取引価額の10分の2まで

    小売事業者はこれらの規制を遵守することで、消費者の利益を保護しなければなりません。これは、消費者が過大な景品に惑わされることなく、公正な競争を促進するねらいがあります。

まとめ

景品を提供する際には、その価値や提供条件を明確にし、お客様を誤解させないようにすることが重要です。また、景品の最高額や総額には制限があるため、これを超えないように注意が必要です。

景品表示法に基づく景品規制は、消費者保護と公正な市場環境の維持を目的としています。一般懸賞では、取引価額に応じた景品の最高額と総額の制限があり、共同懸賞ではこれらの制限が若干緩和されます。総付景品には、提供できる景品の最高額が取引価額の一定割合に制限されています。また、優良誤認表示や有利誤認表示などの不当表示は禁止されており、小売事業者は正確かつ誠実な情報提供を心がける必要があります。これらの規制を遵守することで、消費者は過大な景品に惑わされず、合理的な選択が可能となります。

事業者はこれらの規制を理解し、適切に適用しなければなりません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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